司法書士のしごと

私どもが一番つらいとき

仕事をしていて、とてもつらいことがあります。思いの外仕事に時間がかかりお客様をお待たせしたとき、それもつらいです。でも本当につらいのはお客様の認識と、私の認識が違っていたことがわかったときです。

ある時、相続登記のご依頼をいただきました。相続される方がお住まいの土地と建物の相続登記です。無事登記も完了し書類もお客様にご返却しました。しばらく経ってからお客様から「登記が漏れている」と言うお話がありました。「親の全財産について登記を頼んだのに何故全部やらないのか」とのおしかりです。お客様はお父様の遺産がどれだけあるかは専門家なのだから調べられて当然とお考えになった様です。お客様にしてみれば、わざわざお父様の遺産の一部を登記しない意味はありません。特に指定しないのだから全部終わって当然とお考えになりました。

これに対して、私どもはご依頼いただかないことはできません。お父様の財産がどれだけあるか、勝手に調査をする権限はありません。その結果お客様のご指摘どおり、遺産の一部が登記されないまま残ってしまうことになりました。

そんな行き違いがあったときが一番つらいです。あのときもう少しお話を聞いていれば、別のご説明の仕方もあったのでは・・・・・・悔やまれます。

私は、30年目の今でも自分のことを駆け出しだと思い、お客様にもそうお話ししております。私どもの仕事をお話しする始めに私どもの仕事の限界についてお話ししたのも、お客様からご信頼をいただくためには、私どもができること、できないことの大元のところを知っていただきたかったからです。信頼して頼んだのに裏切られたと言う思いをしていただきたくないからです。

私どもの仕事の基本は記録にあります。お客様が家を建てて、最初に司法書士にご依頼いただく登記を「所有権保存」の登記と言います。ご自分が得た建物の所有者としての地位を登記簿に記録し、それ以後その建物に関係を持つ方に対して自己の権利を宣言し確保する登記です。

そのように司法書士はお客様の権利を守るために仕事をします。

逆にいうと、曖昧になった権利関係の中から自己の権利を主張し、立証して勝ち取ってくる仕事は、基本的には弁護士さんのお仕事になります。

同じ法律関係の専門家とはいってもその使い勝手は基本的に違います。

現在では司法書士も簡易裁判所に於ける少額事件については代理権をもつこともでき、私も簡易裁判所に於ける訴訟の代理ができる認定を受けてはいます。多重債務問題に造詣が深く大変な活躍をされている司法書士も相当な数に上ります。

また、成年後見事務を多く手がけ、認知症の方の権利を守るために日夜努力をされている司法書士も数多くいらっしゃいます。

ただ、私は「司法書士の基本は登記に帰結する仕事を通じてお客様の権利を記録しこれを守ることだ」と考えています。それが自分のもっとも得意とすることであり、お客様に自信を持って提供できるサービスだと考えるからです。

登記に帰結するとは言っても本当に様々です。ご親戚同士でお金の貸し借りをして、親しき仲にも何とやらで、抵当権を設定する事になった。その登記を承ることはもちろんですが、ではお金の貸し借りの契約書、抵当権を設定する契約書を作ることになり、1回あたりの返済額を計算する必要が出て来ます。1回いくらずつ払って何年で払い終わるか計算できる必要があります。

私はそのようにして、お客様のお役に立ちたいと思います。

そして最後に、平成23年8月に気づき、思ったことがあります。
それは、「お客様の声をもっともっと聴きたい」ということです。
何かの縁で私のもとにお越し頂いたお客様は、全てを話し、吐き出して下さい。
そこから、解決する糸口を見つけていきたいと思っています。

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